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不当判決の紙を掲げる原告団の木村結代表=2025年6月6日午前11時36分、東京都千代田区の東京高裁前、小林正明撮影

 東電旧経営陣に13兆円超の賠償命令を出した一審・東京地裁に対し、その責任を認めずゼロ円とした二審・東京高裁。正反対の結論が出た背景には、深刻な事故を起こしかねない電力事業者に要求する「義務」の捉え方に違いがある。

  • 東電旧経営陣の責任、高裁は認めず 原発事故「13兆円賠償」ゼロに

 2022年の一審判決は、旧経営陣に対し、「万が一」を想定して万全の備えをするよう求めた。

 国が公表した地震予測「長期評価」は、トップレベルの研究者らによるもので科学的合理性があり、「特段の事情がない限り、この知見に基づく津波対策を義務付けられる」と指摘。長期評価を踏まえれば、旧経営陣は巨大津波を予見できたし、建物や機器の水密化を行えば、事故を防げた可能性があった――。地裁は計636ページに及ぶ判決文で、旧経営陣の責任を認めた理由を詳しく説明した。

 一方、東京高裁は「事故を防…

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